執念の石

執念の石

武田・上杉両軍30,000余の死闘を展開した川中島合戦の最中、作戦の失敗から緒戦の劣勢を余儀なくされ、身辺が手薄となった武田信玄めがけて切り込む上杉謙信の鋭い切っ先に、あわや信玄も八幡原の露と消えようとした間一髪、武田軍の中間頭原大隅が、傍らにあった信玄の持槍、青貝の長柄を取って馬上の謙信をめがけて、ひと槍突きだした。
苛立った槍は鎧の方を斜右上から力いっぱい打下したが、またも外れて馬の三頭をしたたか打ったので、馬は驚き跳ね上ってその場を狂奔し去ったため、信玄は危く虎口を免れることができた。
一方謙信を取り逃がし、無念やるかたない原大隅は、傍らにあったこの石を槍で突き通したといわれる。

執念の石説明札
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